18歳から3年間付き合った男は、ヒモ・暴力・浮気と、すべてを兼ね備えたダメ男だった祥子さん。(その①はコチラから)
そんなダメ男とのハードな付き合いを終え、しばらくは平穏な日々を過ごしていましたが、次なるダメ男との出会いが訪れます。
出会いのきっかけは、友人に誘われて行った合コン。名前は朗(仮名)。祥子さんより2歳ほど年上です。
朗との付き合いは、8年間に及びました。
彼は、暴力や浮気はかろうじてなかったものの、ひどい罵声を浴びせてくるモラハラ男でした。
■「良い彼氏が見つかった」と思っていたのに…約1年後に『ダメ男化』
次なるダメ男の朗は、最初は「良い人」だったと言います。
仕事も真面目にしてたし、デートでお金も出してくれる。お誕生日もお祝いしてくれる。それが、友人同士のトラブルがきっかけで人間不信気味になり、どんどんダメ男になっていきました。
祥子さん「付き合って1年ぐらいから、友達がほとんどいなくなって、人に対する不満や愚痴をよく言うようになってきて。
『俺はもっとデカい仕事をデキる人間だ、あんな誰でもできるような仕事は俺には合わない』なんて大口叩いて、職を転々としだした。
お金を貸してって言われることもあった。拒んだらすごい勢いで罵られるから、『これぐらいのお金だったらいいか』と思って言われるままに貸してしまっていた」
貸したお金は、もちろん戻ってきたことがないそうです。
彼は、祥子さんに対して、精神が蝕まれるような人格攻撃を繰り返してくるようになりました。
そして、『洗脳』も始まります。
祥子さん「過去に友人に裏切られたり、付き合った女性に裏切られたりしたことを何回も話に出してきて、『どうせお前も俺を裏切るんだろう?』って言ってくる。
私は彼がかわいそうに思えて、『私だけは絶対に裏切らない』って、そういう話になるたびに言ってしまっていた。
そして、本当に“私だけは絶対に彼を裏切っちゃいけない”、“彼を大切にしてあげないといけない”って、強く思うようになった。
今思えば、そう言う風に仕向けられてたんだっていうのがよく分かる」
朗とは同棲はしなかったものの、彼の要求通り、ほぼ毎日会っていたそうです。
朗はほぼ無職のような状態ですが、祥子さんは正社員として毎日朝から夜まで仕事をしている状況でした。
仕事後、朗が車で迎えに来て(※この車は祥子さんの車)、朝方まで一緒にいる生活が続き、「正直、心身共に疲れ果てていた」そうです。
■結婚への焦りも逆手に取られて…
周りの友人たちがどんどん結婚・出産していく27歳ごろ。祥子さんも結婚を意識し始めます。この結婚への意識の高まりが、皮肉にも、彼との別れを余計に遠ざけることになっていきます。
祥子さん「彼との会話の中で、結婚のことをそれとなく話題にしたことがあって。
そしたら、『俺はお前と結婚したいと思えるほど、まだお前を信用してないから』って言われた。
その言葉を聞いて、私は『じゃあ、もっと私が尽くせば結婚してくれるってことなんだ』って思って、希望を抱いてしまった。
いつも彼に罵られてもともと無い自信をさらに失くしてた私が、今さら他のオトコを探すなんて不可能だと思い込んでたし、別れるなんて選択肢を持てなかった」
結婚への思いを逆手に取られ、祥子さんはなおさら別れを決断できない状態に陥ってしまいました。
★
29歳を過ぎ、30歳という大きな節目が見えてきたころ…。
このころには、体のほうが朗との付き合いに拒否反応を示してきていました。彼に触れられると、蕁麻疹が出るようになったのです。
祥子さんは相変わらず仕事を忙しくしていました。
相変わらずほぼ無職で、遊ぶ金を得るためだけにたまに日雇いのバイトに行く朗に呆れた思いを抱きつつも、「私ががんばっている姿を見て、彼が何かを感じてくれれば。彼もまたがんばる気持ちを抱いてくれれば…」という思いで仕事に励んでいたそうです。
そんなある日、仕事へ向かう途中の通勤電車で、朗から一通のメールが届きます。それは、「調子に乗って来ちゃいました~!白銀の世界!」という文面とともに、楽しそうにスノーボードを楽しむ彼の姿でした。
そのメールの文面と写真を見て、祥子さんの中で「突然、何かが切れた」と言います。
電車を降りて、すぐ彼に電話をしました。
「今まで『いつか変わってくれる』と思ってがんばってきたけど、もう限界が来たよ。私ももうすぐ30歳。ここらが良い区切りだと思う。もう別れよう」と言い放ちます。
“私だけは彼を裏切らない、裏切ってはいけない”、“彼に信用されるぐらいがんばれば、彼と結婚できる”・・・ダメ男から刷り込まれた洗脳を自ら打ち破った瞬間でした。
■ダメ男に合計11年間を費やして気づけたこととは?
ヒモ・暴力・浮気の典型的なダメ男との付き合い3年間、モラハラ気質のダメ男との付き合い8年間を終えて、「ダメ男をさんざん経験させてもらえたから、『これからは自分のことを大切にしよう』と心から思えた」という祥子さん。
結婚への執着も手放し、自分の人生を楽しんでいるときに、友人の結婚式の二次会で出会ったのが、今の夫だと言います。
夫からのアプローチにより2人は付き合い、結婚に至りました。
祥子さんは、現在の夫とは、良い距離感で付き合えているようです。
祥子さん「夫は、自分をしっかり持っている。人をむやみに否定しないし、押しつけもしない。夫には『この人のためにがんばらないと』『この人には私がいないと』と感じさせるものがまったくない。夫の両親もそんな感じだから、付き合いが本当に楽。自分の実家にいるより、夫の実家にいるほうが楽なぐらい」
そして、「当時友人たちに言われても全然自覚なかったけど、自分は確かに『ダメ男製造機』だったと思う」と振り返ります。
祥子さん「私は、“誰かに自分を必要としてもらう感覚”をものすごく欲していた。
彼らのことを受け入れることで、彼らを自分に依存させて、『私は必要とされている』という満足感を得ていた。つまり、私も彼らに強く依存していたっていうことだと思う。
当時、私は、自分のことを“ダメ男に尽くすイイ女”だと思ってた。
でも違う。ダメ男が引き寄せるのはダメ女。つまり私も、残念ながら『ダメ女』だったってことなんだよね」
***
お互いがお互いに依存しあう関係。このような関係性を“共依存”と言います。
親子や恋人は、関係性が深く濃くなる分、共依存状態になることは多々あります。
共依存の背景にあるのは、「他人に必要とされることでしか、自分の価値を感じられない」という感覚です。
祥子さんと過去のダメ男たちとの関係も、共依存だったと言えるでしょう。
祥子さんのように、彼と共依存状態に陥ってしまう女性は、決して少なくないように思います。
共依存の関係は歪んでいます。長期的に見てマイナス面だらけなのですが、“心地よさ”を双方にもたらすという一面もあります。
幼少期に味わった寂しさ、孤独感や人間関係のトラブルが消化されず胸の中に深い傷として残っている人は、恋人と共依存状態になることで、“過去に得られなかったいろんなものを取り戻そう”とするのかもしれません。
そしてこの歪んだ恋愛経験は、精神的に自立していく上で、周囲と健全な人間関係を築けるようになる上で、ある種の人々にとっては『必要な過程』なのかもしれません。
・自分を幸せにできるのは、結局は『自分自身』。
・自分は相手のために生まれてきたのではないし、相手も自分のために生まれてきたのではない。
そういう意識を備えている女性は、ダメ男を引き寄せたりダメ男を作ってしまう可能性は少ないでしょう。
また、そのことに気づけた女性は、付き合う男性の質が変わってくると思います。
ダメ男を作り出してしまう可能性は、どんな女性にもあるのだと思います。
いろんな経験を経て、最終的には、周囲と健全な人間関係を築けるような自分になっていたいですね。
※ウレぴあ総研のサイト『mimot.』にて、こんな記事も書きました。
ご興味ある方はご一読ください。→『ダメ男に“付け入るスキ”を与えてしまう女性って? 要注意な特徴5選』
執筆者/黄本恵子(アモーレ大学心理学部コミュニケーション学科教授)
3万人を超える人の悩みを解決するコーチ&カウンセラーとして活躍。 2010年、その経験を活かしてコミュニケーション心理スキルを紹介する、コミュニケーションライターとして独立。主に家族間(夫、子ども、姑、実家)のコミュニケーションの改善や人間関係の悩みを解決するコラムを執筆している。〔ブログ〕
2018年6月2日、『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)に出演。
2018年8月16日、『ビビット』(TBS系)に出演。
・米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー
・一般社団法人日本聴き方協会認定シニアインストラクター 認定シニアカウンセラー
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