パートナーシップの本といえば、男性側、女性側どちらかの視点に立ったものが多い中、両方の立場から結婚について語った珍しい本がニコイチ幸福学です。
また、驚くべきことに著書の二人はご夫婦であり、慶應大学で幸福についての研究を行っている慶應大学大学院教授と研究員という関係性でもあります。そんな二人が「ニコイチ」という言葉を軸に、パートナー間の幸せのあり方や描き方について本書では語られています。
結婚して数年は何もしなくとも幸せな状態が続く、前野夫妻の言葉を借りればエンドルフィンが出ているものの、3年経ち、出産を経験する中で結婚生活に対する満足感はどんどん低下していきます。
普通であれば、仕方なく現状を受け入れるか、はたまた外に目を向けてしまうところかもしれませんが、そこで前野夫妻が手がけている幸福学の研究が役立ちます。
まず、本書では「ニコイチ」という言葉が頻繁に出てきます。二人で一つ。
パートナーを「自分のより良い半分」と表現し、ニコイチはお互いに時間や経験を分かち合いながらお互いに成長することが醍醐味だと伝えています。ここでポイントとなるのが、パズルのピースのように欠けた部分を補うのではなく、一人の人間として独立した二人がともに成長していくという点です。
さらに、夫妻が目指すのは誰かに支えられて成り立つ幸せではなく、自分の力で長く続く幸せを感じる方法を見つけ出すことです。ある調査から得られたデータを分析したところ、幸せに影響する「やってみよう!」「ありがとう!」「なんとかなる!」「ありのままに!」という4つの因子があることがわかっています。どの言葉もポジティブなものばかりですよね。
「やってみよう!」因子で自分の興味のある分野を伸ばし、自分がいても良い世界を持つことができるようになります。自分の世界があるということは居場所があるということに繋がり、大きな幸福につながります。
また、「ありがとう!」因子が強くなることで、自分だけではなく人のことを考える、つまりパートナーのことを思って行動できるようになります。そして、第3の因子「やってみよう!」因子は、何か問題が起きて決断しなければいけない場面に遭遇した時、大きな力を発揮します。
やってみよう!は挑戦してみよう。例え、自分がそうでなくてもパートナーがやってみよう因子の強い人であれば、背中を押され励まし合いながら成長することができるでしょう。
そして、最後の「ありのままに!」因子。人目を気にせず自分の思うように過ごすことは時にリスクも伴います。しかし、ニコイチにとって、自然体の自分をさらけ出すことは、大きな幸せに繋がり信頼関係の高まりにも寄与します。
ここまで読み進めたあなたは、自分の幸せやパートナーとの幸せについてもっと深く知りたいと思ったはず。そこで、本書では2種類のテストを使って幸福度をチェックすることができるようになっています。
幸せは筋トレに似ていると本書でもありましたが、チェックして終わりではなく、それをどう次につなげていくのかが一番大事な部分ですね。
後半では、前野夫妻が「婚活」や「浮気」について幸福学の観点からメッセージを発しています。特に、浮気をする人を幸福度の低い人と呼び、満ち足りておらずかっこ悪いと言い切っているところは気持ち良くも感じます。
すでにパートナーがいない人でも後学のために実践できる幸せのエッセンスがつまった本書、ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。
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