世の中に『ダメ男』は数多く存在するようです。
そんなダメ男の中でも、浮気性、暴力を振るう、モラハラ、ヒモ。
こんなダメ男との恋愛は、誰もが避けたいところでしょう。
ハードすぎて我が身を滅ぼしかねません。
ところが、そんなダメ男と図らずも付き合ってしまい、泥沼にハマってしまう女性は少なからず存在します。
また、男を『ダメ男化』してしまう女性も、存在するようです。
今回、取材に協力してくれた祥子さん(仮名)は、東海地区に住む現在36歳。ショートカットの髪がよく似合う涼しげな顔の美人です。
32歳で結婚し、家族は、夫と娘1人。最近、新築マンションを購入しました。穏やかな性格の夫と、自分によく似た可愛い娘と、幸せに暮らしています。
今は平穏な日々を過ごしている祥子さんですが、彼女には18歳から29歳の11年間をダメ男たちに費やしてきたという歴史があります。
付き合う男がどんどんダメ男になっていく。ついたあだ名が『ダメ男製造機』。
祥子さんの壮絶ダメ男体験とは?
■『ヒモ』『浮気』『暴力』…“ダメ男の権化”に捧げた3年間
まず最初のダメ男とは、祥子さんが専門学校生だったときに知り合いました。
学校が終わってから、飲食店でアルバイトをしていた祥子さん。
そのバイト先で知り合った祥子さんと同い年の男、健司(仮名)。
健司は、『ヒモ』『浮気』『暴力』。まさにダメ男の中のダメ男、ダメ男の権化のような男でした。
■ダメ男は最初からダメ男ではなかった!
祥子さん「最初は、彼もそんなダメ男じゃなかった。仕事もちゃんとしてたし、デートをしても、お金を払おうとしてくれてたし。でも、気づいたら、いつの間にかヒモになってた」
健司が立派なヒモとなった原因について、祥子さんはこう分析します。
祥子さん「私が全部『いいよ』って受け入れてイイ女ぶってたのがダメだったんだと思う。デートしてもおごられるのを頑なに拒んでたし。彼が『ここは出すよ』と言ってくれても、意地でもお会計の半分を出してた。良い恰好をしたかったんだ。『男がお金を出すのは当然のことじゃない』って態度を取ることで、そのへんの女とは違うアピールをしてた。
そしたら、最初はワリカンだったのが、私が彼の分まで全部出すようになってきて。『お金を貸して』と言われることも多々あった」
貸したお金は、もちろん返ってきたことはないそうです。
おもしろいのは、健司は、決してお金には困っていなかったというところです。
むしろ彼は、裕福な家の息子で、過保護と言っていいぐらい親に甘やかされていました。
祥子さん「彼の家に遊びにいったとき、最初は仰天した。すごく大きな家で。おじいさんが大きな会社の創業者らしくて。そのおじいさんの娘が、彼のおかあさんってわけ」
健司の父親は、彼が小さいときに離婚して家を出ていたとのこと。健司には兄もいたのですが、兄は『この家を継ぐつもりはない』と言って、早々に家を出てしまっていました。
つまり、彼は、その家で残された唯一の男子。おじいさんも、おかあさんも、その家の人間はみんな『この子をこの家から逃すまい』と、健司に執着している様子が見て取れたそうです。
■歪んだ家庭環境がもたらしたもの
祥子さん「彼の家に行ったとき、私、彼のおかあさんに、箒でゴミと一緒に足を掃かれたことがあって。当時、私の髪の毛は明るく染めていて、ピアスも複数開けていたし、おかあさんからしたら、自分の大事な息子がどこの馬の骨とも分からないケバケバしい娘を連れてきて腹が立ったのかな」
そしてこの後、さらに衝撃の出来事が起こります。祥子さんの足をゴミと一緒に箒で掃く母親に対して、健司は「なにしてんだババア!」と怒鳴り、母親の頭を掴んで、玄関に積んであった段ボールに自分の母親を投げたのです。
健司の母親が倒れこんだ段ボールには、小麦粉やら卵やらが入っていたらしく、起き上がった母親は、全身、粉と卵にまみれていました。
18歳を越えて自分の母親にそんな態度をしている彼は、明らかに異常です。そして、よそ様の娘の足を箒で掃く母親も。
こんな光景を目の当たりにして、「おかしい」とか「付き合いを考えよう」とは思わなったのでしょうか?私の質問に、祥子さんはこう答えました。
祥子さん「もちろん引いた。その後も、私に対するひどい言動をするおかあさんに対して彼が暴力を振るう場面が何度かあって、そのたび『ケンちゃんやめて!』って必死で止めてたし。
だけど、『彼は、おかあさんから私を守ってくれてるんだ』『私を大切に思ってくれている証拠だ』って嬉しく思う気持ちもあって。
私は小さい頃からなぜか『姉御』とか『男前』ってレッテル張られて、親からも甘えさせてもらえなくて、女の子としてあまり扱ってもらったことなかったから…」
祥子さんは、両親が公務員。三人きょうだいの末っ子でした。
両親は仕事に忙しく、また兄や姉のほうに一生懸命で、末っ子の祥子さんはあまりかまってもらえなかったとのこと。
中学生のときに引っ越しで転校したときは、友達が出来ず、いじめや裏切りにも遭いました。
そんなときも誰にも言えず、一人で抱えていたそうです。
■そして始まる、暴力と浮気
その後2人は、周囲の反対を押し切って同棲を始めます。
家賃・生活費等、もちろんすべて祥子さん持ちでした。
ここから健司のダメ男ぶりは、ますます加速していくことになります。
祥子さん「私が彼から頼まれた買い物を忘れてしまったのがきっかけで、暴力がはじまって。『私が悪いから』と思って暴力を振るわれても何も言わなかったのがいけなかったのか、そこから蹴られたり、噛まれたりするようなことが頻繁に起こった。
浮気相手を家に連れ込まれてたこともあった。具合が悪くなって仕事の途中で帰ったら、ベッドで彼と女の頭が見えてて。私が『ちょっと、何してんの?』って言って布団をポンポンしたら、逆ギレされて、首根っこ掴まれて家の外に放り投げられた。
途方に暮れて、とりあえず実家に帰ろうとマンションの階段を下りていたら、彼が追いかけてきて、『ごめん』って謝って後ろから抱きしめられた。
その後別れ話もしたけど、一緒に暮らしてたし、なかなか本当には別れられなくて、元の状態に戻っちゃって。
結局、私は浮気も許しちゃった。『男は浮気するものだし仕方ないよね』、『結局私の元に戻ってくるからそれでいいわ』って、自分を納得させてた」
■男をダメ男にしてしまう“決定的な思考”とは?
暴力も振るい、浮気までするダメ男。そんな健司との付き合いを、家族や友人たちがよく思うはずはありません。
友人からは何度も「あんな男、別れなよ」「いつまで付き合ってんのよ」と言われたそうです。
祥子さん「そう言われるたび、『でも、ケンちゃん、いいところもあるから』って言ってた。あと、『ケンちゃんは私がいないとダメだから』って。
今思えば、この『でも、いいところがあるから』と『彼は私がいないと』っていう思考。これが彼をますますダメ男にしてたし、私も私で彼から離れない理由を作ってたんだと思う」
親からは、「もうオトナなんだし、アンタが無事生きてさえいればいいけれど、結婚だけはありえないからね」と言われていたそうです。
周りから反対されればされるほど、若い頃の恋愛というのは盛り上がるのかもしれません。
★
そんな健司ともやがて別れが訪れますが、その別れのきっかけはなんだったのでしょう?
祥子さん「仕事がすごく忙しくなって、職場の人間関係のストレスも強烈になってきて。
家に帰ったら、安らぐどころか、彼にほんのちょっとしたことで暴力振るわれるっていう状況で、限界が来たんだと思う。ふと冷静になって、『実家帰ろう』と思って、彼には何も言わずに家を出た。
実家に帰って平穏な日々を過ごしていたら、どんどん冷静になってきた。彼から何度も電話かかってきてたけど、受けずに、メールで別れようということを伝えた。直接話をするなんて、怖くてできなかった。彼が家に来て、家の前で「ふざけんな、出てこい!」って叫ばれたこともあったけど、絶対出なかった。
そしたら彼も諦めて、ある日、私の荷物を私の実家の前に置きにきた。それっきり、電話もメールも一切来ないし、まったく連絡はとっていない」
ヒモ、暴力、浮気。すべてを兼ね備えたダメ男と無事別れて平穏な日々を取り戻したのもつかの間。
祥子さんは次のダメ男と出会います。
次回、ダメ男体験記②。次のダメ男は、「モラハラ気質のビックマウス」です。
執筆者/黄本恵子(アモーレ大学心理学部コミュニケーション学科教授)
3万人を超える人の悩みを解決するコーチ&カウンセラーとして活躍。 2010年、その経験を活かしてコミュニケーション心理スキルを紹介する、コミュニケーションライターとして独立。主に家族間(夫、子ども、姑、実家)のコミュニケーションの改善や人間関係の悩みを解決するコラムを執筆している。〔ブログ〕
2018年6月2日、『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)に出演。
2018年8月16日、『ビビット』(TBS系)に出演。
・米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー
・一般社団法人日本聴き方協会認定シニアインストラクター 認定シニアカウンセラー
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