恋人でも、夫婦でも、今のパートナーとずっと仲良く寄り添っていきたいなら、言葉のプレゼントを日々心掛けることは、とても大切です。
しかし、悲しいかな、言葉や会話というのは、年月が経つごとに、足らなくなってきます。
「こんなこと、話さなくても分かるだろう」という油断が生まれるからですね。
仕事が忙しくなってろくに会話の時間が取れない、というのもあるでしょう。
また、話かけても、批判や否定をされたり、適当にあしらわれたりすると、話す気がだんだんとなくなってくるというのも、あるかと思います。
こうしたことが積み重なると、パートナーとの間には、いつの間にか溝ができてきます。
そして、その溝は決してそのままということはなく、いつの間にか埋まることもありません。どんどん深くなり、やがて大きな問題となり立ちはだかることになります。
先日、以前勤めていた会社の飲み会があり、私の元同僚の男性が、離婚したことを知りました。
ある日突然、奥さんから離婚を告げられたそうです。
離婚理由は、奥さんから「感謝の言葉がない」と告げられたとのことでした。
離婚を告げられて、奥さんや子どもと離れて暮らすようになって、今振り返ってみると、確かにいつの間にか仕事にいっぱいいっぱいになって、感謝の気持ちを伝えることをしなくなっていたそうです。会話も、まったく交わさない日もあったと言います。
付き合っていた当初は、たくさん愛の言葉を伝えました。
「逢いたくて逢いたくてしかたなかった」
「君と出会えたおかげで人生が楽しくなった」
「その髪型、すごく似合ってる」
結婚当初は、たくさんの感謝の気持ちを伝えました。
誉め言葉もたくさん伝えました。
「この料理、すごい美味しいよ」
「子どもたちのこと、いつもありがとう」
相手の話も、一生懸命聴きました。
いつから、会話が少なくなったのか?
いつから、感謝の気持ちを伝えなくなったのか?
いつから、相手の話をゆっくり聴かなくなったのか?
はっきり思い出せません。
たとえ思い出せたとしても、時間は決して巻き戻せません。
よくある話かもしれません。
そう、とてもよくある話なんです。
このような結末をたどる夫婦は、決して少なくないように思います。
離婚はしなくても、家庭崩壊という寂しい状態に陥っている夫婦もとても多いです。
“パートナーと日々どんなコミュニケーションを重ねているか?”は、その後の二人の関係を大きく左右します。
大切な人生のパートナーと、別れや寂しい状態に陥らないためにできることがあるとしたら、「日々」を大切にすることではないでしょうか。
未来は、確実に“今、この日々”から作られています。
「愛しているよ」
「ありがとう」
「ごめんね」
「今日はどんな出来事があったの?」
パートナーに関心と意識を向けて、日々の会話を楽しんでほしいと思います。
そして、言葉のプレゼントは、欠かさないようにしてほしいと思います。
愛のある言葉、優しい言葉は、心を癒します。
神様が私たちに言葉を与えてくれたのは、大切な人に与えるためではないかと、私はそう思っています。
執筆者/黄本恵子(アモーレ大学心理学科コミュニケーション学部教授)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。