私は、チケットぴあが運営するママ向け情報サイト『ハピママ』にもコラムを定期的に提供させていただいているのですが、そこで以前、「夫婦のセックスレス問題」について取り上げました。
恋人・夫婦仲相談所の所長で、夫婦のセックスレス問題に関する著書を多数出版されている三松真由美(旧:二松まゆみ)先生に取材させいただいたのですが、このコラムがリリースからかなりの月日が経っているのにも関わらず、いまだにたくさんの方に読まれています。
・『専門家が指摘するセックスレスの原因とは? 解消のために妻ができること3か条』(ハピママ)
このコラム以外も、セックスレスに関する話題は関心が高いようで、よくランキング入りしています。
それだけ、セックスレスに悩んでいる女性が多いということでしょう。
上記の三松真由美先生の取材記事の中にも書いてありますが、最近は「夫が抱いてくれない・・・」という悩みを持つ女性が増えているそうです。
上記の記事では、「セックスレスを解消するために女性ができること」という視点で記事を書きましたが、ここでは、「パートナーとのセックスレスについて、男性に知ってほしいこと」という視点で書きたいと思います。
1. 女性にも性欲はある
性欲は、人間の三大欲求の一つであり、最も原始的なものです。
女性にも存在していて当たり前のものなのに、女性の性欲を“無視”している男性は少なくないように思います。
「女は男のように性欲はないから、性生活がなくても別に平気だろう」と思っていませんか?
中には、「女性が性欲を持つのは不潔で、はしたないことだ」と考える男性もいるようです。
このような考え方の男性をパートナーに持つと、女性は性欲が芽生えたとき素直にそれを打ち明けられず、モンモンと過ごすことになります。
また、「女性に性欲がない」と考える男性のセックスは、パートナーの女性がどうしたら気持ちいいと感じるか、どうされたいか(どうしたいか)を考えず、自分の性的欲求を満たすためだけのセックスをしがちなので、女性はますます欲求不満を募らせることになります。
「旦那とセックスをしても、自分本位で全然気持ち良くない」・・・こんな言葉を、既婚者の女性からよく聞きます。
女性にも多かれ少なかれ、性欲はあります。そして、どんな風なセックスをしたいかというのは、女性によって違います。
女性の性欲について考えたことがなかったという男性は、改めてパートナーの女性との性生活について、振り返って考えてみてほしいと思います。もし、自分の都合でしているときが多いなら、「どんな風にしたいか(してほしいか)?」「自分との性生活で不満なことはないか?」をパートナーに聴いてみてください。そして、「お互いがより満足できるような」性生活を持ってほしいと思います。
2. 妊娠・出産への思いは、女性にとって重く大きい
パートナーの女性に「そろそろ排卵日だから」という理由で性生活を求められたり、「早く子どもがほしいんだから、もっとがんばってよ」と言われて、ウンザリし、それがきっかけでパートナーとセックスレスになったという男性も多いでしょう。
「俺は子作りの道具か!」と思ってしまいますよね。
こうしたケースは、確かに女性側のコミュニケーションにも問題があります。改善すべき点なのは間違いありません。
しかし、女性の妊娠・出産への思いは、とてつもなく大きいものなのです。
毎月生理が来るたびに激しく落ち込んだり、友達の妊娠・出産報告だけでなく、芸能人の妊娠・出産報告にも焦りとプレッシャーを感じたりする女性は少なくありません。
パートナーの親に「子どもはまだ?」「早く孫の顔が見たいわあ」なんて言われた日には、大きなストレスを感じます。
妊娠は年齢とともにしにくくなりますから、日に日に焦りは強くなってきます。
女性があなたに「そろそろ排卵日だから」「子どもがほしいから」という理由で性生活を求めるのは、普段から妊娠や出産について考えに考え、思いつめた末の言動である可能性が高いということを、分かってほしいと思います。
また、そんなパートナーの気持ちを少しでも楽にできるよう、もしあなたの親や身の回りの人が「子どもはまだ?」などの話題を口に出したときは、全力でかばってあげたり、精神的なフォローをするなどしてほしいと思います。
3. パートナーから「愛されていない」「必要とされていない」という思いは、ときに子どもに悪影響を及ぼす
女性にとってパートナーとのセックスは、ただの性欲処理や子作りのための行為ではなく、パートナーに「女として愛されている」「女として必要とされている」ことを確かめる行為でもあります。
パートナーである男性から求められなくなると、女性は、女としての自信を消失します。
そして、その失った自信はどこで取り戻すか?というと、子どもがいる女性の場合、子育てに役割を見出すことが、とても多いです。
これが、子どもへの過保護や過干渉に繋がり、子どもの人生に悪影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。
パートナーである夫からきちんと愛されているという自信を持つことができれば、女性は子どもと良い距離感で付き合えます。
パートナーと定期的に性生活を持つことは、子どもにとっても大切というわけです。
もし、定期的に性生活を持つことがどうしても無理ならば、せめて「愛しているよ」「キレイだね」など、女として愛されているという実感を持てるような言葉がけを日々心がけるなどしてほしいと思います。
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以上、アモーレ大学では、セックスレスについて、男性に向けて書いてみました。
パートナーとの性生活は、充実していたほうが、男女ともに幸せに過ごせることが多くなりますし、絆も強くなります。
今回のこのコラムが、男性にとって、パートナーとの性生活の改善や、パートナーシップについて考えるきっかけになれば嬉しいです。
執筆者/黄本恵子(アモーレ大学心理学部コミュニケーション学科教授)
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